今回も東京芸大卒業作品展の中から4年間工芸科で学んだ卒業生の作品と作者のお話をご紹介します。
加藤一初さん「花集め 〜anthologia〜」(東京芸大工芸科 彫金専攻)
加藤さんの作品は直径25cmほどの大きさのジュエリー作品で、ブレスレットやティアラ(頭頂部に付ける装飾品、冠の一種)として使うものです。
花をモチーフに0.3mmの薄い銀や銅を使って3種の作品を作りました。
以下は作者から聞いた内容です。
Q: この作品のコンセプトを教えてください。
A: 英語のanthologyは「花」を意味することと「集めること」を意味します。
以前から薄い銀の板で展開図から手で形を起こす作品を作っていて、
平面から立体に形が変わることに興味を持っていました。
薄い金属が自立するモチーフとして花を3年次の時から使っています。
Q: 制作上、苦労した所は?
A: 小さな花が集合して輪の構造になっています。作品を身につけたとき、その小さな花が揺れる様にしたかったのでその揺れる構造に苦労しました。
銅を使った作品は花のパーツが100以上あってそれを組み立てるのも大変でした。
Q:卒業後の予定は?
A:これから大学院を目指す予定で、もし大学院に進めたら「花飾り」をテーマにジュエリーを研究していきたいと思っています。そして工芸をもっと見近かなものとして生活の中で使える作品をめざしたいと思っています。
Q: 最後に彫金やジュエリーの魅力とは?
A: 古くからいろいろな彫金の技法があります。それらの技法を習得して現代の工芸や彫金技術に生かすことが出来るのが彫金のおもしろさであり、やりがいだと思っています。
手でものを作ることとして、手仕事のよさを再認識しています。
ありがとうございました。今後の作品を楽しみにしています・・。
工芸科主任 藤田政利