3月5日まで多摩美術大学工芸学科卒業制作展2013の後期 が表参道にあるスパイラルガーデン(港区南青山5-6-23・地下鉄表参道駅からすぐ)で開かれています。ガラス・陶・金属の学生が30数人づつ発表しています。
今回は後期の作品から卒業制作を紹介して作者にいろいろ質問をして聞いてみました。
紹介する卒業生は4年前にOCHABIで学んで多摩美に行った先輩です。
木名瀬 薫「沈みも浮かびもせず、ただそこに漂っているかのように」
Q: 卒業おめでとうございます。4年間は早いですね。OCHABIにいたのがついこの前のような気がしますね。
では卒業作品の話をいろいろ聞きたいと思います。まず、タイトルだけど、ずいぶん長いタイトルですね。その作品のテーマなどから教えてください。
A: はい、立体作品は量感があったり、何かどっしりした感じのものが多いですが、私はその逆で、空間に漂っているような、動きだしそうなものが好きです。そして作る作品の形をしっかり決めてから作るのでなく、素材に寄り添うように、形を聞いて決めていくように心がけています。
Q:なるほど、その事は工芸の世界で素材を大事に作品を作るうえで、とても大事な事だね。陶・土に限らず金属でもガラスでもどの世界でも共通項でしょう。無理やりネジ伏せるのでなく、その素材の持ち味を最大限活かして造形する、これが基本ですね。
A:そうですね、陶作品は焼成するので土を薄く使うことが必然となり、立体なので重力の事も気にしています。そして出来上がった作品がこれになりました。
Q:この作品の作り方はどのように作りましたか?
A: 陶の作品は素焼きと本焼きと二度焼きます。その素焼きの時に、作品を伏せた状態にして約2日間ほど焼きます。その時は作品を逆さから見てる状態になるので意外な造形性を発見したりと、おもしろいところでもあります。
その後、釉薬を上下両方にかけて、足を下にした状態で本焼きになります。制作期間は3カ月ほどです。焼く窯の大きさで作品の大きさが決まりますが、この作品は9つのパーツでできたものを、3つの形につなげました。
Q: このような形の作品は始めて?
A: いいえ、3年の時と4年の前期作品はもっと小さいですが、同じようなフォルムの造形を作っています。3年の時は陶以外の素材と組み合わせる課題で、その時は脚の部分を金属で作って陶と組み合わせました。
Q: でも今回の作品は、足も陶でできているので、フィルムが一層、土の形になってきましたね。
では次の質問で、今後、卒業後の予定は?
A: はい、先月に東京芸大大学院の彫刻専攻を受けて合格しました。
Q: それは、おめでとう!4月からは芸大の大学院生だね。 工芸でなく彫刻にした理由は?
A: 大学では専攻別に分けられますが、社会に出れば、分野は関係なく評価されると思います。なのであえて、違う分野の仲間と制作し、話し違う価値感をいろいろ受け入れ、自分の立ち位置を確認して、今後の制作に活かしたいと思っています。
Q: 芸大ではどんな作品を作るか興味ありますね。
A: 大学院では特に課せられる課題は無いようなので、土の素材を軸にいろいろな素材にもチャレンジしたいと思います。
そうですね、いろいろなものを吸収する2年間にしてください。
今日はありがとうございました・・