多摩美術大学工芸学科の 卒業制作展2013 が表参道にあるスパイラルガーデンで
開かれていました。ガラス・陶・金属の学生が合計60名ほど発表しました。
作品の中から卒業制作を紹介して作者にいろいろ質問をして聞いてみました。
紹介する卒業生は4年前にOCHABIで学んで多摩美に行った先輩です。
Q: 卒業、おめでとうございます。
まず、タイトルの「染み入る」の由来から教えてください。
A: 私は神奈川県の秦野にずっと住んでいて、近くには古い家が多く、その壁など
が風化して味わいのある感じになっています。 そこに自然の現象が凝縮され
ていて奇麗だなと思います。 人工物の中に自然というものが入り込んで、そ
れが染み入ってるなと感じ、その様な現象に興味があります。今回はその思い
を形にしました。
Q: なるほど、では今回の作品の制作方法についてお聞きします。
6本の形が寄り添う様に立っていますが・・
A: はい、形は箱の形をしていますが、「手びねり」といって土をヒモ状にして
下から段々立ち上げていきます。それを6本作り、お互いの隙間がない様
に作りました。そして焼成すると土は収縮するのでその縮んだ分が、そのまま
隙間として配置しています。
Q: 先ほどの人工と自然という対局にあるものを一つの形に凝縮した訳ですね。
制作期間は?
A: だいたい4ヶ月位です。4年前期の作品は具象的な形で今回とは違う方向の
作品でしたので今回は試行錯誤しながらの制作でした。
Q: 草山さんにとって陶の魅力とは?
A: 陶は窯に入れて焼くと、完成予想通りにはなりませんがその偶然性が
かえっておもしろく思います。 例えば縮み具合とか、貫入(釉面に現
れたひび割れの現象)とか、焼いた時に出来る釉薬の垂れた感じとか、
焼いて窯を開けた時の発見や驚きなどがとても好きです。段々慣れてくると、
その現象が予測できてくることもあります。
Q: 卒業後の予定は?
A: はい、4月からは箱根にある陶芸体験の出来るお店 のインストラクターとし
て正社員で働くことが決まりました。そこでは陶芸を教えながら、自分の作
品も制作出来る環境なので楽しみです。
Q: OCHABIの時の思い出とかは?
A: そうですね、当時はあまり遊ばず、勉強ばかりしていました。
今思えば、もっといろいろなことを取り入れて楽しめばよかったなと思ってま
す。 なにに付けても気持ちの余裕があった方がいいと思いますね。
はい、ありがとうございました。
今後は箱根の教室で頑張って仕事をしてください。