「夏を制する者は、受験を制する」といいます。今から45年前、私は御茶美生でした。あの夏の日のことを思い出しながら書いています。当時の私は高校を卒業していったんは社会人となりましたが、初心を忘れることができなくて退社し、芸大を目指しての浪人生活２年目でした。私が卒業した高校というのは当時日本には３校しかなかった工芸高校でしたが、そこでは工業機械科に属していましたので、高校時代にデッサンなどはやったことがありませんでした。受験にあたっての問題はデッサン力だったのです。あの夏、御茶美が夏休みに入った日の夜、友人のバイクに乗せてもらって、国道に出て遠距離トラックに手を振りました。そう、金のない私は夏休みをヒッチハイクで故郷に帰り、工芸高校の美術室でひと夏を過ごそうと思ってのことでした。
その夏は実家から毎日高校に通い、一日中、冷房のない美術室で石膏像を独り占めにして頑張りました。そして翌年の３月、受験を制しました。皆さんの夏はどうでしたか？しっかりやりきって２学期を迎えることができましたか？
