2012年11月3日土曜日

ドイツに行ってきた(彫刻-5)その1

今年の初夏に、ドイツに行ってきた。父と弟同伴で約一週間、フランクフルト、カッセル、ベルリン、ハンブルグと、
短期間のうちに各地をまわった。

カッセルでは、ドクメンタという大規模なアートのグループ展が開催されていたので、
それを観に行った。街は多くの人でにぎわっていた。

そこで何よりも印象的だったのは、ドイツと日本とのアートに対する人々の接し方の違いだ。
子供から老人まで幅広い層の老若男女が、リラックスした雰囲気の中で、
関心を持ってアートに接している姿は日本ではあまりお目にかかれない。
そこでは、言い方は変だが、ちゃんとした需要と供給の、健全な関係が成り立っていると感じた。

作品は巨大なものが多かった。絵画や彫刻といったオーソドックスなジャンルでも、見せ方にひと工夫あった。

日本ではちょうど御茶美祭の製作期間だったから、それを思い浮かべて、ドイツでの展示と比較してみると、
日本人はものづくりの傾向が強いんだなと思った。あと、やはり教育によるものは大きいと感じた。
学校での美術の時間、大学での専攻別に分かれる仕組みの影響もあるだろう。

また、日本では左脳よりも右脳的な反応で作品の善し悪しを判断する傾向にあることも、改めて感じた。
美術とは情緒的なものだとする先入観。これは僕の私見だが、日本では観る側が育ってないと感じる。
そういう意味で、日本のアートはアートとは似て非なるものなのかもしれない。


カッセルの街


















老若男女の集まるゆったりとした展示風景












突如現れた巨大な空間

ドイツの彫刻家、シュテファン・バルケンホールの作品。


その2へ続く・・・

彫刻科主任 古池潤也http://www.ochabi.ac.jp/gakuin/view/F00003/